2010年06月10日

『天地明察』の三角形:渋川春海の誤謬(ごびゅう)と天元術

『天地明察』に出てくる三角形の問題。渋川春海(二世安井算哲)はどうやって間違えたか。

tenchimeisatsu-sangaku.JPG

正答の導き方のいくつかは 奇想庵さんのこちら にまとめられているのですが、
わたしが気になっていたのは、作中の春海が導いた「直径10寸」
「ひらひらと誤謬の二文字が」・・・まあそうですね、一番短い辺が9寸ですから。それはありえません。

そしたら、「一歩すすんで二歩さがる」さんが、二次方程式での解の導き方を出していらっしゃいました。
すごい☆ 10寸出た!!

解法はこちらを参照。


(じつはわたしが一番最初に引いた補助線がこの解法のものでした。画像があったので貼り付けます。でも自分ではどこで間違ったのか、10寸にも7分の30寸にもならなかった。もう、いつもかっこわるいなあ・・・。)


tenchimeisatsu.JPG



なるほど、「一歩すすんで二歩さがる」さんの解法から、春海(算哲)は二次方程式で解いていたように見えます。

解が二つあるうちの間違った方をぱっとつかんでしまった、と。


このシーンは寛文元年(1661年)晩秋。
算木を用いて高次方程式を解く中国の「天元術」(wiki)のテキスト朱世傑の『算学啓蒙』(1299年)は日本では万治元年(1658年)に刊行されたばかりだったそうです。
算学好きの春海がこの本を早速手に入れてここでの解法に二次方程式を利用した、というのは説得力があるように思います。
(きっと彼は「へええ、未知の数を天元の一とするだって!」とウキウキしたはず。)


一方の「解答さん」関孝和は天元術を発展させた高次方程式の解き方「点竄術(てんざんじゅつ)wiki」を確立させた人ですが、このときの解法はどうでしょうね? 




また、和算の本によると(立ち読みだったのでタイトルを失念・・・)
ここで出題者となる村瀬義益が「最近算額とやらが流行っているらしいが何を考えているのやら・・・」と困惑したという逸話もありますが・・・いやいやそんなマニアックなの気にしてたら物語の創作なんてできないでしょう☆



それよりも当時の幾何では円の接する図形が最もエレガントな(「ゆかしき」?)問題とされたそうで、この出題はなかなか当を得たものに見えます。
タグ:算学
posted by もっも at 20:29| Comment(3) | TrackBack(0) | 天地明察 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
もっもさん
こんばんは.fnkyksjです.

時代的には二次方程式の解き方が本になっていて,春海(算哲)は見ていた可能性があるのですね.なるほど.

細かいことなのですが,寛文2年=1662年という記憶があります.ということは,寛文元年は1661年になるのではと思いますが,いかがでしょう.
Posted by fnkyksj at 2010年06月11日 00:54
fnkyksjさんこんばんは。
解き方教えてくださってありがとうございました。なんでこの問題を作品に入れたのか意図が分かったようでとても嬉しかったです! 春海は「新しい解き方」でカッコよく決めたかったんでしょうね。

西暦、まちがってました。0と1をまちがえるなんてPCが壊れそうできけんです><  
ご指摘ありがとうございます。
Posted by もっも at 2010年06月11日 01:22
超平面 H と 点p との 距離 d(H,p)
http://plaza.rakuten.co.jp/weisheit/diary/201411130000/
>2013 大阪大学 文系 点と直線の距離の公式の証明

   〇ほど 易しい問題はない ; 超易しい!〇

    これを 使う だけ で 解けてしまう

   古の数學者の 問題を 扉氏より紹介された;

http://d.hatena.ne.jp/zariganitosh/20120219/tenchimeisatu_diameter

>この問題を関孝和は一瞬で回答する。渋川春海は数日考えてようやく答えに辿り着く。

先ず x/12+y/9=1 は 誰でも 瞬時に記し ;

{36/5 Abs[-1 + x1/12 + y1/9] == r, 36/5 Abs[-1 + x2/12 + y2/9] == r,
x1 == r, y2 == r, x1 == r, y2 == r,
Sqrt[(x1 - x2)^2 + (y1 - y2)^2] == 2 r}

   を解き 不要なのを 遺棄すれば 瞬時に

{x1 -> 15/7, y1 -> 33/7, x2 -> 39/7, y2 -> 15/7, r -> 15/7}

    を ゲットし 2*(15/7)が コタエ で Fin。

<--------エレガントさが 皆無ネ と 嘲笑されても イイ。


   イロイロ解説が在るようですが もういらない。

http://www2.ttcn.ne.jp/~nagai/waseda/wasan/tenchi.PDF


  ここからが 問題;

● 関孝和師にも ↓達を解いて欲しい ● ;

上で瞬時に獲た 2円;

c1;(x-15/7)^2+(y-33/7)^2==225/49,c2; (x-39/7)^2+(y-15/7)^2==225/49

の 双対曲線 c1^★,c2^★を 多様な発想で是非求めて 図示願います;


逆写像の存在しない 線型写像 f= {{1, 3}, {2, 6}} に よる

    c1の像 f(c1) を 求めて 図示願います;

    c1^★の像 f(c1^★) を 求めて 図示願います;

    c2の像 f(c2) を 求めて 図示願います;

    c2^★の像 f(c2^★) を 求めて 図示願います;



    ↑は 易し過ぎ 瞬時に解決されたでしょう。

   で ↓の c の 像 f(c) を 求めて 図示願います;

4 x^4-48 x^3 y+120 x^3+216 x^2 y^2-1080 x^2 y+8100 x^2-432 x y^3+3240 x y^2-8100 x y+324 y^4-3240 y^3+2025 y^2=0



    ついでに 不定方程式をも 解いて下さい;

    c1^★∩Z^2=

    c2^★∩Z^2=

    ついでに c1^★ の漸近線があれば 求めて下さい;

    ついでに c2^★ の漸近線があれば 求めて下さい;

● 関孝和師 は 上達を 瞬時に解いて後世に残すでせう ●

 
Posted by ★ at 2016年08月15日 00:16
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/152814563
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。